精神医学・発達心理学の歴史において、自閉症概念の理解は絶えず更新されてきた。20世紀半ばにオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが報告した群像は、現代の自閉スペクトラム症(ASD)を紐解く重要な足がかりとなった。その後、ローナ・ウィングが症例を詳細に観察し、臨床的な行動パターンから「孤立型」「受動型」「積極奇異型」という3つのタイプを見出した経緯がある。
現在、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-11)や米国精神医学会の診断基準(DSM-5-TR)では、これらを個別の病名として区別するのではなく、連続したスペクトラムとして統合して診断する。しかし、実際の臨床現場や発達心理のカウンセリングにおいては、当事者個々の行動特性を把握し、具体的な生活支援を組み立てるうえで、積極奇異型という視点がいまなお非常に実践的な指標として活用されている。