2006年、AKB48の2期生オーディションに合格し、芸能界への本格的な一歩を踏み出した野呂佳代。当時すでに20歳を超えており、周囲には十代前半の若いメンバーがひしめいていた。ダンス経験は豊富だったものの、アイドルとしての「可愛らしさ」を前面に押し出すグループのコンセプトと、自身の個性のギャップに激しく苦悩することになる。
シングル曲がリリースされるたびに発表される「選抜メンバー」。そこに自分の名前が呼ばれることはほとんどなかった。センターを張る前田敦子や大島優子らが脚光を浴びる傍ら、バックダンサーとしての立ち位置を余儀なくされる日々。選抜漏れのたびに味わう屈辱と焦燥感は想像を絶するものだったが、彼女は腐るどころか、与えられた短いMC枠やステージの端で圧倒的な存在感を示す戦略へと舵を切った。