スクリーンに焼き付いた瑞々しい芝居の裏には、過酷を極めたロケとキャスト同士の濃密な衝突があった。映画『ちはやふる』の撮影現場は、さながら本物の部活動そのもの。野村周平は当時、自らが演じる太一の「報われない切なさ」をどう表現するか、小泉徳宏監督と幾度もディスカッションを重ねていたという。
特にファンから屈指の名場面として挙げられる部室での葛藤シーンや、かるたを前にして指を震わせる瞬間の表情は、緻密に計算された演出と野村の直感的なパッションが融合して生まれた。共演陣との合宿同然の現場環境で育まれた空気感は、カメラが回っていない時間にも太一と千早、新の関係性として自然に染み出していたと現場スタッフは証言する。