映画史に残るクライマックス、組事務所への殴り込みシーン。アサルトライフル(M16)から放たれた空砲の爆風によって、小道具のビンが爆発し、ガラスの破片が実際に薬師丸ひろ子の左頬をかすめた。痛みが走る中、彼女は演技を止めなかった。
カメラが回る中、飛び散るガラス、吹き荒れる煙、そして実際に切り傷を負った顔。射撃を終えた直後、息を整えながら口をついて出た「カ……イ……カ……ン……」という言葉。それは台本の文字をなぞったものではなく、恐怖、緊張、死線を超えた安堵感が混ざり合った、本物の感情の爆発だったのだ。この撮影時の独占秘話とも言える怪我の事故こそが、邦画史上に残る奇跡の一瞬を生み出すこととなった。