薬師寺保栄の名を語る上で外せないのが、1994年12月4日に名古屋レインボーホール(現・日本ガイシホール)で開催された辰吉丈一郎とのWBC世界バンタム級王座統一戦です。「カリスマ」として圧倒的な人気を誇っていた暫定王者・辰吉に対し、正規王者でありながら不利を予想される逆境の中、薬師寺は研ぎ澄まされた左ジャブを主軸に試合を支配。2-0の判定勝利を収め、日本中を熱狂させました。
通算戦績28戦24勝(16KO)3敗1分を誇る薬師寺のキャリアにおいて、この試合は興行的にも日本ボクシング史の頂点に君臨しています。両陣営による入札額は当時のレートで約3億4000万円に達し、薬師寺が手にしたファイトマネーも1試合として破格の1億円超えを記録。これは当時の国内スポーツ界の常識を覆す金額でした。
かつて拳を交え、日本中を二分したライバル・辰吉丈一郎とは、現在では互いの功績を称え合う深い絆で結ばれています。ボクシングイベントやメディアでの共演時には、当時の舞台裏を笑顔で振り返るなど、昭和・平成のボクシングファンを胸熱にさせる関係が続いています。