第一線で活躍する選考委員たちの評価軸も興味深い。歌人の俵万智氏は、日常のふとした一瞬を鮮やかに切り取る視点の鋭さと、言葉自体の響きやテンポ感を鋭く見極める。一方で、作家・エッセイストの阿川佐和子氏は、飾り気のない人間味や、思わず笑みがこぼれるユーモア、あるいは不意に胸を突く素直な告白に強い関心を寄せる。
両氏に共通するのは、綺麗にまとめられた優等生的な文章よりも、作者自身の生々しい息遣いが聞こえてくるような一文を重視する姿勢だ。自分だけの体験に基づいた独自の観察眼が、審査員の感情を力強く揺さぶる。