相手を騙すためではなく、健全な信頼関係(ラポール)を一瞬で築き、商談や交渉を有利に運ぶためにもコールドリーディングの技術は極めて有効だ。
代表的な実践技法のひとつが「レインボーステートメント」だ。これは「普段は非常に慎重に決断されますが、ここぞという時には大胆に行動できる方ですね」といったように、相反する二つの性格特性をひとつの文脈で伝える技術を指す。相手はどちらかの側面に必ず共感し、「自分の複雑な内面を正しく評価してくれた」と好感を抱く。
さらに、曖昧な事実を投げかけて相手の反応を待つ「ショットガニング」や、相手のわずかな頷きに合わせて語尾のニュアンスを微調整する観察術を取り入れることで、商談相手が自ら求めている本音を心地よく引き出すことが可能になる。会話の主導権を握るとは、一方的に話すことではなく、相手に「話させられている」と気付かせずに導くことなのだ。