すべての始まりは、第1回京都アニメーション大賞の奨励賞を受賞した作家・虎虎による原作小説だった。KAエスマ文庫の旗揚げタイトルとして世に送り出された本作は、思春期特有の誇大妄想である「中二病」を真っ向から肯定しつつ、人間ドラマへと昇華させた画期的な作品だ。
アニメーション化に際し、メガホンを取った石原立也監督の手腕は際立っていた。原作が持つ繊細な心理描写を基盤にしつつ、京都アニメーションならではの圧倒的な作画力と疾走感あふれるアクション演出を融合。六花が構える傘の切っ先から放たれる“妄想バトル”は、現実の何気ない放課後を極彩色のスペクタクルへと塗り替えた。彼女の右目に宿る「邪王真眼」という設定は、単なるギミックではなく、受け入れがたい過酷な現実から心を守るための切実な防壁でもあったのだ。