経営現場において小規模企業共済の貸付制度はどのように評価されているのでしょうか。都内で製造業を営む代表者(50代)や、ITフリーランスとして活動する個人事業主(40代)への取材、ならびにSNSコミュニティ上の実体験データを集約すると、鮮明な実態が浮かび上がります。
「年末の取引先倒産で売掛金回収が滞り、月末の買掛先への支払いが300万円ショートしかけた。銀行に追加融資を頼んでも審査に2週間かかると言われ絶望していたが、共済に5年間毎月7万円積み立てていたおかげで、翌朝商工中金の窓口へ行き即日250万円を調達できた。あの即効性がなければ不渡りを出していた」(都内・金属加工業経営者)
一方で、手軽さゆえの心理的な油断を吐露する声も少なくありません。
「『自分の積み立てたお金を引き出すだけ』という軽い気持ちで一般貸付を借り換え続け、気づけば5年間一度も元金を返さないまま利息だけを払い続けていた。事業売却時に共済を解約した際、元利金が一括相殺されて手取りの退職金が大幅に目減りし、老後資金計画が大きく狂った」(元飲食業オーナー)
資金調達手段としてのハードルが極めて低い反面、「借金である」という緊張感が薄れやすい点が、本制度最大の心理的盲点といえます。