当時のチームを率いていたのは、日本陸上界のレジェンドである瀬古利彦監督だった。当時の早稲田大学競走部は、武井隆次、花田勝彦、そして櫛部静二という超強力な同級生トリオを擁し、「絶対王者」として箱根駅伝の頂点を目指していた。
栄光を義務付けられた圧倒的なプレッシャー。それはランナーの精神をギリギリまで削り取る。中継所で固唾をのんで待ち構える瀬古監督やチームメイトたちの表情には、痛切なまでの緊迫感が走った。辛うじてタスキがつながれたあの瞬間、早稲田のベンチと沿道の観客は安堵と衝撃が入り混じった独特の熱気に包まれた。