1985年、瀬戸内の豊かな風土を抱く愛媛県今治市に生まれた山田彩加。彼女の創作の原点は、幼少期から抱いていた自然界への深い洞察にあった。生命が織りなすパターンや有機的な造形に対する研ぎ澄まされた感性は、彼女を芸術の道へと突き動かす。
東京藝術大学美術学部に入学した当初、彼女は油画を専攻していた。しかし、絵の具を重ねるプロセスの中で、より精緻で計画的な線の集積が生み出す独自の空間表現に目覚めていく。大学院へと進む中で版画研究へ転向。石版画(リトグラフ)という水と油の反発作用を利用する高度な平面表現技法に出会ったことが、彼女の芸術的運命を決定づけた。
2011年から2012年にかけて、彼女はフランス・パリへ渡る。名門パリ国立美術学校(École Nationale Supérieure des Beaux-Arts)への留学である。欧州の伝統的な版画技術と西洋美術史の洗礼を受けたことで、彼女の表現はより普遍的な「生命観」へと昇華した。帰国後、東京藝術大学にて版画における博士号を取得。名実ともに学術的・技術的基盤を兼ね備えた気鋭の美術家として歩み始めた。