1938年、東京・渋谷の窮迫した家庭環境に生まれた細木数子。終戦直後の混乱期を生き抜く中で培われたのは、他人に依存せず自らの腕一本で生き抜く強靭な野心だった。十代にして喫茶店経営に乗り出すと、持ち前の度胸と人心掌握術で頭角を現し、やがて舞台は夜の街・銀座へと移る。
政財界の大物から裏社会の権力者までが交錯する銀座のクラブシーンにおいて、彼女は単なるママにとどまらなかった。巨額の資金を動かし、政財界のフィクサーたちと渡り合う姿はまさに「銀座の女帝」。莫大な借金トラブルや凄惨な利権争いに巻き込まれながらも、持ち前の鋭い感性と冷徹なまでの判断力で窮地を脱していった歴史は、後年の人物伝でも異彩を放つエピソードとして語り継がれている。