実力派俳優の西島秀俊が見せる情熱は、画面を通しても痛烈に伝わってくる。クランクインの数ヶ月前から都内の名店に通い詰め、プロのシェフから過酷な指導を受けたという。彼が作る本格的なイタリア料理は、器の温度から盛り付けの角度に至るまで一癖も二癖もあるこだわりが貫かれている。
単なる「美味しそうな料理」の提示にとどまらない。素材の持つストーリーや歴史、そして食卓を囲む人々の心情が、皿の上で見事に交錯する。西島演じるシェフの無骨でありながら温かみのある佇まいが、作品全体のトーンを決定づけているのは間違いない。