SNSや大手知恵袋、コミュニティフォーラムを定点観測すると、細編みに関する切実な叫びが連日投稿されています。「レシピ通りに編んでいるのに目数が合わない」「20段編んだら幅が最初の半分になって泣く泣く解いた」といった声は後を絶ちません。
都内の編み物教室で年間300名以上を指導するベテラン講師は、現場での実態を次のように証言します。
「生徒さんの編み地を拝見すると、ほぼ全員が『最後の1目』の手前で編み終わっています。細編みの最終目は、前段の立ち上がりに押し出されて下側に潜り込む性質があります。そのため、肉眼では編み終わったように見えても、実はもう1目残っているのです。これを防ぐには、段の最初の目と最後の目に段数マーカー(ステッチマーカー)を必ず装着する習慣をつけるしかありません。『慣れるまでは自分の目を信じるな、マーカーを信じろ』が指導の合言葉です」
さらに、細編み往復編みと輪編みの違いも混乱に拍車をかけています。平面的に往復して編む場合は毎段編み地を裏返しますが、筒状に編む「輪編み」では常に表側を見ながらぐるぐると編み進めます。輪編みでは「細編み引き抜き編みの正しい手順」を守らなければ、段の継ぎ目(シーム)が斜めにスパイラル状にズレていくという特有の症状が発生します。編み方の様式に応じた構造理解が不可欠です。