実際に無痛分娩で重篤な事故が起きる確率はどの程度なのでしょうか。日本無痛分娩研究機構(JALA)および日本産婦人科医会が収集・公表している安全性統計によると、適切なガイドラインを遵守している施設における全脊柱麻酔の発生頻度は数千件から1万件に1件未満、母体死亡に至るリスクは数十万件に1件程度と極めて稀です。
帝王切開や自然分娩を問わず、あらゆる出産には常位胎盤早期剥離や弛緩出血、羊水塞栓症といった突発的な母体急変リスクが約0.01〜0.02%の確率で存在します。国内外の大規模コホート研究を比較しても、「無痛分娩だから危険」「自然分娩だから安全」という単純な優劣関係は存在しません。
重要なのは数字の多寡に惑わされることではなく、予期せぬトラブルが発生した瞬間に、迷わず救命処置を実行できる体制がその施設に整っているか否かです。