この分野で世界的な警鐘を鳴らしたのが、ハーバード公衆衛生大学院のジョセフ・アレン准教授らの研究チームだ。彼らが主導した建物の室内環境と脳機能に関する実証実験では、二酸化炭素濃度が1,400ppmに達すると、意思決定能力や戦略的思考力が50%以上も低下するという衝撃的なデータが示された。
科学論文データベースであるPubMedやGoogle Scholarで近年公開された一連のトラッキング研究を検索しても、CO2濃度の上昇が一時的な注意力散漫にとどまらず、軽度の認知機能障害に似た状態を脳内に引き起こすとする論文が次々とヒットする。ジョセフ・アレン氏が指摘するように、私たちが「午後の停滞期」と呼んでいたものの正体は、建物の換気不足が生み出した人為的な脳機能低下に他ならない。