昭和から平成にかけて独自のポジションを確立した市原悦子さんですが、若かりし頃の写真や映像資料を目にした人々からは、「まるで銀幕のヒロインのような凛とした美しさ」「大きな瞳と清楚な佇まいに息をのむ」といった声が寄せられています。
親しみやすい“おばあちゃん”や“ベテラン家政婦”としての印象が強い層にとって、20代から30代前半にかけてのシャープなフェイスラインと強い眼差しは、従来のパブリックイメージを鮮やかに覆すものです。モノクロ写真に収められた彼女は、透き通るような肌と理知的な表情をたたえ、当時の演劇青年たちを虜にした可憐なオーラを放っていました。
単なる外見の美しさにとどまらず、舞台人としての気品や内面からにじみ出る芯の強さが、そのビジュアルをより際立たせていたことが当時の舞台評からも読み取れます。