インターネット上の英会話解説記事では「ネイティブは全員What's upを使う」「ビジネスでも親しい同僚なら何でもWhat's upでOK」といった極端な情報が散見されますが、これは明らかな誤解です。現場での運用には、明確な制約が存在します。
第1の盲点は、ビジネスシーンでの適切な挨拶表現としての不適切さです。どれほどフランクなカルチャーを持つ外資系企業であっても、役員クラスに対するプレゼンテーションや、クライアントとの商談の冒頭で「What's up?」を使うことは社会人としての常識を疑われる要因になります。フォーマルな環境下では「Good morning」「Good afternoon」、あるいは「It's a pleasure to meet you」が基本原則です。
第2の盲点は、相手が真剣に深刻な表情で「What's up?」と聞いてきた場合の解釈です。眉をひそめ、低いトーンで語戦を落としながら発せられる「What's up?」は、「挨拶」ではなく「何か問題でも起きたのか?」「どうしたんだ?」という純粋な懸念やトラブルの確認を意味します。このシチュエーションで機械的に「Not much!」と笑顔で返すと、相手の気遣いを無視したチグハグな反応になってしまいます。声のトーンや表情といった非言語情報(ノンバーバルコミュニケーション)の観察が不可欠です。