館内へ足を進めると、他館の追随を許さない圧倒的な所蔵品が静かに佇んでいる。ここで必見なのが、西欧美術史においても極めて貴重とされるスペイン近代美術の数々だ。中世末期から現代に至るまでの膨大な作品群は、東洋屈指の規模と質を誇る。
この卓越したコレクションの基盤を築いたのが、かつて外交官としてスペイン等に在任した須磨弥吉郎氏である。彼が個人の眼識と情熱で収集した作品群は須磨コレクションとして広く知られ、ダリやピカソ、ゴヤといった巨匠たちの若き日の試行錯誤や名作が凝縮されている。時期ごとにテーマを変えて行われる限定公開の企画展は、一度の訪問では味わい尽くせない深遠な魅力を与えてくれる。