やはり、私たちの世代にとって「一万円札」といえば福沢諭吉だろう。1984年の登場以来、2004年のマイナーチェンジを経て、実に40年もの間、日本の最高額紙幣の座を守り続けた。バブル期の狂乱も、その後の崩壊も、すべては「諭吉」の受け渡しとともにあったのだ。
「諭吉が飛んでいく」という表現は、もはや日本語の慣用句として定着している。福沢が選ばれたのは、明治維新期における近代化と学問のすすめを説いた啓蒙思想家としての功績からだ。彼の鋭い眼光は、日本が経済大国へと駆け上がるプロセスを静かに見守っていた。