事件が大きく動いたのは、特定危険指定暴力団「工藤会」系幹部である田中幸雄被告の逮捕であった。京都府警察による長年の地道な遺留物鑑定とDNA解析が実を結び、現場近くで採取された微細な痕跡が被告へとつながった。長期間にわたり難航を極めた捜査が結実した瞬間であり、国民の誰もが全貌解明への第一歩だと期待した。
しかし、捜査の前に立ちはだかったのは頑なな「沈黙の壁」だった。逮捕後も被告は核心部分について口を閉ざし続け、誰の指示で京都へ向かったのか、どのような対価が支払われたのかといった重要証言は得られていない。裏社会の厳しい掟と報復への恐れが、真実の口を固く閉ざさせているのだと見られている。