悪魔のZを語る上で欠かせないのが、その心臓部に組み込まれた狂気のメカニズムです。手掛けたのは、かつて数々の伝説的なマシンを生み出しながらも、スピードの魔力に取り憑かれ業界を追われた「地獄のチューナー」こと北見淳でした。
ボンネットの下に収まるのは、日産の直列6気筒エンジン「L28型」を限界までボア・ストロークアップしたL28改 3.1リッター仕様。そこに大容量ツインターボチャージャーを組み合わせ、当時の常識を遥かに超越する最高出力600馬力、トルク80kgm級という怪物的パワーを絞り出しています。
現代の電子制御されたスーパーカーとは異なり、トラクションコントロールもABSも存在しない時代のアナログモンスターです。軽量なS30Zのボディ(車両重量わずか1トン強)に過剰なパワーが乗せられた結果、スロットルを開ければホイールスピンを起こしながら猛烈な加速を見せ、S30Z 悪魔のZの最高速度は実測300km/hを軽々と突破します。
「走るほどに車が軽くなり、路面から浮き上がるような錯覚に襲われる」と評されたそのセッティングは、命を削りながら走る者にしか乗りこなせない、まさに地獄のチューナーが生み出した最高傑作でした。