インターネット上には手軽さを謳った保管テクニックが溢れていますが、和装の構造を無視した誤情報も少なくありません。特に多くの人が陥りがちな3つの誤解を是正します。
誤解1:洋服用のハンガーに掛けっぱなしで良い?
最も多い失敗が、クローゼットの洋服ハンガーに掛けたまま数ヶ月放置することです。一般的な洋服ハンガーは肩幅が狭く傾斜がついているため、身頃の重みで衿元が歪み、肩山に不自然なポッコリとした跡がついてしまいます。陰干しの際は、袖の端まで一直線に支えることができる専用の着物用ハンガーの使い方を徹底してください。伸縮式の着物ハンガーであれば、裄丈(ゆきたけ)全体に均等にテンションがかかり、型崩れを完全に防ぐことができます。
誤解2:圧縮袋で密閉して省スペース化できる?
収納スペースを節約したい一心で、布団用や衣類用の圧縮袋に浴衣を詰め込む行為は致命的です。極度の圧力によって繊維が押し潰されると、翌年開封した際に繊維の奥深くまで強固な折りジワが刻まれます。このシワは家庭用スチームアイロン程度では元に戻りません。保管スペースに限りがある場合は、通気性の良い不織布ケースを活用し、上から重い物を乗せないレイアウトを心がけてください。
誤解3:専用のたとう紙がないと保管できない?
「着物用のたとう紙(文庫紙)をわざわざ買うのが面倒」と放置してしまうケースが見られますが、身近なアイテムで十分に代用が可能です。浴衣のたとう紙代用収納としては、新品の無地クラフト紙や綿100%の大判風呂敷、市販の不織布製衣装ケースが極めて効果的です。通気性に優れ、湿気を吸湿・放散してくれる天然素材や不織布で包むことで、湿気やカビから布地を確実に保護できます。ビニール袋に入れたまま密閉するのは絶対に避けてください。