『New Year's Day』の歌詞を深く読み解くと、U2が表現しようとした「絶望の淵にある希望」の輪郭が浮き彫りになります。曲の冒頭から提示されるコントラストは極めて鮮烈です。
「All is quiet on New Year's Day / A world in white gets underway(元日の朝、すべては静まり返り、白銀の世界が動き出す)」という静謐な描写に続き、サビでは「I will begin again / I will be with you again(僕はもう一度やり直す、僕は再び君のもとへ行く)」という力強い決意が歌われます。
ここで特筆すべきは、2番のヴァースに登場する象徴的なフレーズ「Under a blood red sky(血のように赤い空の下で)」です。この言葉は後に彼らの伝説的なライブアルバムおよび映像作品のタイトルにも採用されたU2の代名詞的フレーズですが、元々は冷戦下の緊張、流血の惨劇、そして共産主義の象徴である「赤」を暗示するダブルミーニングとして機能しています。
「Nothing changes on New Year's Day(元日になっても何も変わらない)」という冷徹な現実に打ちのめされながらも、ボノは「Though days and nights make one / And gold is the reason for the wars we wage / Though I want to be with you(たとえ夜と昼が一つになろうとも、金が戦争の引き金であろうとも、僕は君とともにありたい)」と歌い継ぎます。状況がどれほど絶望的であっても、人と人との繋がり(連帯)と信念だけは決して国家の暴力でも引き裂けないという強い信念が、この和訳の行間から強く伝わってきます。