InstagramやTikTokをはじめとするソーシャルメディアで「一度は訪れるべき京都の写真映えカフェ」として頻繁に名前が挙がる最大の理由は、2階に広がる圧倒的な「白い空間」の演出にあります。設計を担当したのは、数々の名建築や茶室リノベーションで国際的評価を得ている建築家・佐野文彦氏(studio PHENOMENON)です。
大正時代の建物をフルリノベーションした館内は、1階の重厚な焙煎カウンターから2階へと階段を上がるにつれ、劇的な空間変化を体験できる設計になっています。2階にはテーブルや個別の椅子が一切置かれておらず、周囲をぐるりと囲む階段状のベンチと、ランタンのように灯るペンダントライトのみが配置されています。
「余計なものを削ぎ落とし、人と空間、そして一杯の飲み物と純粋に向き合う」というソローの思想が空間全体で体現されており、訪れた人々は段差の好きな場所に腰を下ろし、思い思いの角度で光と影のグラデーションを楽しみます。境界線を曖昧にすることで他者との距離感を心地よく保つこの建築アプローチこそが、国内外のゲストを惹きつけてやまない本質的な価値となっています。