体脂肪率が15%前後であるにもかかわらず、なぜ豚は丸々と太った体型に見えるのでしょうか。その背景には、豚の体脂肪率が低い理由と直結する独自の生体力学的構造が存在します。
第1の要因は、豚の筋肉量と体組成の特異性にあります。豚の体重のおよそ40%以上は骨格筋(赤身肉)で占められており、全身が極めて密度の高い筋肉の塊です。特にロースやモモ、ヒレといった部位は分厚い筋繊維の束で構成されています。脂肪は水に浮くほど比重が軽いのに対し、筋肉や骨は比重が重いため、豚は見た目の体積に対して実際の重量が非常に重い「重量級の筋肉質ボディ」を誇っています。
第2の要因は、巨大な消化器系と寸胴な骨格です。豚は雑食性であり、大量の飼料を効率的に消化・吸収するために胃腸が発達しています。この内臓器官を納めるために腹腔が大きく広がり、人間のように「くびれ」が存在しない樽型の体幹をしています。さらに足が短く首が太いため、全身の輪郭が球体に近いシルエットを描き、視覚的に「太っている」と錯覚させてしまう構造になっています。
第3に、脂肪の局所的な分布が挙げられます。豚の脂肪は全身に均一につくのではなく、背中側の皮下(背脂肪)に集中して堆積します。この外側の層が滑らかな曲線を形成するため、皮膚の内側に詰まった強靭な筋肉の隆起が見えにくくなり、ふくよかな印象を決定づけています。