この構想をハード面で支えるのが、箱型自動運転EV「e-Palette」だ。内部のインテリアを自由自在に組み替えられるこの次世代モビリティは、夜間は物流車、日中はカフェ、そしてある時には走る移動型店舗として瞬時に姿を変える。内装には木目調の上質なデザインが施され、まるで隠れ家書店の書斎に迷い込んだかのような居心地の良さを実現した。
ソフト面や選書、空間演出においてタッグを組むのが、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブだ。CCCが培ってきた膨大な企画力とカルチャーの知見が、トヨタの動的プラットフォームの上に融合する。過疎化が進み、近所に本屋がない地域へe-Paletteが走り込み、ポップアップ型の読書イベントを開催する。待つのではなく「本屋のほうからやってくる」という体験は、地域住民、特に子どもたちに鮮烈な記憶を刻み込んでいる。