法律上、「バツイチ」という身分区分は存在しません。民法および戸籍法において、婚姻歴のある独身者は初婚の未婚者と同じく単に「配偶者のない者」として扱われます。大手法律事務所(アディーレ法律事務所等)の法律解説においても、バツイチとは男女の区別なく1度の離婚を経験した者を指す完全な俗称であると位置づけられています。
言葉の語源として最も知られている決定的な契機は、1992年9月に行われたお笑いタレントの明石家さんま氏と女優の大竹しのぶ氏の離婚会見です。さんま氏が額に黒マジックで大きく「×」を描いて記者会見場に登場し、自虐的なユーモアで離婚を報告した姿は当時のメディアで大きく報じられました。重苦しくタブー視されがちだった「離婚歴」をお茶の間の笑いに昇華させたこのパフォーマンスにより、「バツイチ」という言葉は一気に国民的流行語へと押し上げられました。
言葉の汎用化が進んだ結果、Weblio辞書などの現代語解説にもある通り、近年では離婚歴にとどまらず「コンビを解散した経験を持つお笑い芸人」を比喩的にバツイチと呼ぶなど、人間関係のリセットや再出発全般を指す表現としても定着しています。辞書的な意味での「独身(配偶者がいない状態全般)」や「シングル(未婚・離別・死別を含む単身者)」と比較すると、バツイチは「自らの意志で婚姻関係を結び、法的手続きを経て解消した経験を持つ」という明確なプロセスを含意する言葉として使い分けられています。