天理大学柔道部の強さを語る上で、切っても切り離せないのが寮生活と稽古の過酷さです。奈良県天理市にある道場では、年間を通じて極限の緊張感のなかで稽古が行われています。朝のトレーニングから始まり、夕刻の本稽古では激しい乱取りが延々と繰り返されます。畳の上には独特の熱気と張り詰めた静寂が漂い、部員同士が意地と誇りをぶつけ合います。
SNSやOBの証言、現役部員周辺の声を丹念に追うと、かつて囁かれていた「理不尽な雑用」や「夜通しの説教」といった旧態依然とした風習は、完全に一掃されていることが確認できます。現在は、睡眠時間の確保や栄養バランスの取れた食生活、スマートデバイスを用いた疲労管理など、トップアスリートとしての自立を支える生活環境が整備されています。
一方で、稽古そのものの厳しさは一切薄れていません。むしろ、理不尽な疲弊がなくなった分、稽古自体の密度は極めて高まっています。「1分1秒たりとも気を抜けない」「ここで耐え抜けば世界で通用するという確信が持てる」という部員たちの言葉通り、極限まで心技体を研ぎ澄ますストイックな空間が維持されています。規律を守りながらも互いを尊重し合う、極めて健全で高純度な競争環境がそこにあります。