コンセプトカーの市販化を巡っては、SNS(XやInstagram)、自動車専門掲示板、オーナーズクラブなどで常に激しい議論が交わされています。ユーザーの声をつぶさに分析すると、ファンがメーカーに対して抱く期待と現実の落差に対するリアルな心理が見えてきます。
「東京モーターショーで見たときは未来的で息をのむほど美しかったのに、ディーラーに並んだ実車を見たらタイヤが小さくなり、フロントマスクも普通のクルマになっていて購入意欲が一気に冷めた」という意見は後を絶ちません。この現象は自動車ファンの間で「コンセプト詐欺」などと揶揄されることもあります。ショーカーという極限の芸術作品に目を奪われた結果、市販車のデザインに対するハードルが不当に上がってしまうという心理的ギャップが存在します。
一方で、ホンダの新型プレリュードのように「ショー会場で見たプロポーションがほぼ崩れずにショールームへやってきた」瞬間、市場のリアクションは熱狂的な賞賛へと一変します。ユーザーが求めているのは、非現実的なギミック(観音開きドアや格納式ステアリングなど)ではなく、「美しいスタンスと引き締まったキャビンがそのまま量産されること」であるという本質が浮き彫りになっています。
また、2009年のダイハツ・バスケットのように「市販化されなかったからこそ伝説になった」モデルも存在します。現在でも中古車市場ではハイゼットデッキバンをベースにカスタムを施し、バスケットの面影を追い求める熱心な愛好家が存在するなど、コンセプトカーが放った強烈なカルチャーは世代を超えて生き続けています。