時計の針を1998年に戻してみましょう。当時、PlayStationの猛攻によって劣勢に立たされていた株式会社セガは、新ハード「ドリームキャスト」の命運を賭けた大型プロモーションを画策していました。そこで白羽の矢が立ったのが、時代のヒットメーカーである秋元康氏です。
秋元氏の発想は斬新かつ破天荒でした。「役者ではなく、本物の役員を矢面に立たせる」。小学生から「セガなんてダサくて嫌いだよな」「プレステの方が面白いよ」と面と向かって言い放たれ、酒場で泥酔して愚痴をこぼす専務――。自社製品を卑下するかのような衝撃的なテレビCMは、瞬く間に日本中の話題をさらいました。実在の重役が傷つきながら走るコミカルな姿は、消費者の同情と親近感を強烈に呼び起こしたのです。