松浦弥太郎が提案する「丁寧な暮らし」は、単なる家事のノウハウにとどまらず、人間関係の作法にまで及んでいます。なかでも松浦弥太郎の結婚観は、現代の夫婦関係において極めて示唆に富んでいます。
彼は「親しき仲にも礼儀あり」という言葉を極めて重く受け止めています。夫婦だからといって甘えや傲慢さを許さず、毎朝きちんと挨拶を交わすこと、相手への感謝を言葉にすること、そして互いの「個人の時間」を奪い合わないことを提唱してきました。
『暮しの手帖』の編集長時代から一貫しているのは、「家族であっても他人である」という冷静で温かな眼差しです。相手を自分の思い通りに変えようとするのではなく、違っていることを面白がり、尊敬し合う。この洗練された距離感こそが、長年にわたって心地よい婚姻関係を維持するための秘訣となっています。