浸水被害は、ベネチアの経済的命綱である観光業に二重の試練を与えている。高潮のニュースが世界中に流れるたびにホテルやガイドツアーのキャンセルが相次ぐ一方、水没しかけた幻想的な風景を一目見ようと訪れるオーバーツーリズムの波も絶えない。現地で土産物店やレストランを営む事業者は、高潮警報が鳴るたびに商品を高い場所へ移動させ、防水バリアを設置する対応に追われている。
観光局関係者は「アクア・アルタの時期であっても、モーゼ計画のおかげで主要な観光ルートの安全は保たれている」とアピールするが、水害対策費の重荷や日帰り客への入市料導入など、都市の持続可能性を巡る議論は紛糾を極めている。歴史的景観の保全と経済活動の両立は、今やかつてない破綻の危機と隣り合わせにある。