『侍戦隊シンケンジャー』が名作と評される大きな要因は、脚本家・小林靖子氏によって第1幕から周到に張り巡らされていた伏線の見事さにあります。影武者という設定を知った上で最初から見返すと、丈瑠の言動のすべてに明確な理由があったことが分かります。
代表的な伏線には以下のようなものがあります。
家臣の招集を拒んだ第1幕:丈瑠は当初、家臣を集めることを頑なに嫌がっていました。自分が偽物であると知っていたため、赤の他人である自分に命を預けさせる罪悪感に苛まれていたからです。
「命を預かる」ことへの異常なまでの躊躇:家臣たちが忠誠を誓うたびに、丈瑠はどこか寂しげな表情や戸惑いを見せていました。
黒子の存在とジイの葛藤:丈瑠の身の回りを世話する黒子たちやジイが、時折見せる痛ましいような眼差しは、死地に赴く影武者への哀惜からくるものでした。
夢の中の記憶:丈瑠の幼少期の回想シーンでは、両親の顔や普通の家庭の温もりを思い出す描写が意図的に排除され、孤独な訓練の風景のみが描かれていました。