市ヶ谷事件の直後、現場の鑑識作業を担当した警視庁の記録写真には、鮮明なカラーフィルムで撮影されたコマが多数存在しているとされる。首を切断された状態の死体、血に染まった絨毯、転がる日本刀――それらの一次資料は厳重に封印され、捜査資料として公判資料とともに秘匿されてきた。
なぜ未公開写真の噂がこれほどまでに長く尾を引くのか。それは、現場で押収された写真の一部が流出したという都市伝説が、ネット掲示板や海外の怪奇系サイトを通じて広まったからだ。だが、警察組織が保管する検分記録の原本は厳重な管理下にあり、一般に流通しているとされる画像の大半は精巧なコラージュや別事件の誤認、あるいは過剰な演出を加えた模造品である可能性が高い。ショッキングな視覚情報に翻弄されることなく、記録としての事実関係を客観的に見極める姿勢が求められている。