「皮膚科に何軒も通ったけれど、一向にニキビが治らない」と嘆く患者の行動履歴を詳細に分析すると、医療の限界ではなく、患者側の無意識の行動パターンに起因する皮膚科で治らない決定的な理由が浮かび上がってきます。
第一の落とし穴は「継続期間の圧倒的な不足」です。肌のターンオーバー周期は正常な若年層でも約28日、年齢や炎症状態によっては45日以上を要します。微小面皰が正常な毛穴へと生まれ変わり、新しいニキビの発生が目に見えてストップするまでには最低でも3ヶ月(約12週間)の継続が不可欠です。しかし、多くの脱落者は「1〜2週間塗っても劇的に変わらない」「皮剥けが嫌だ」という理由で自己判断により塗布を中止してしまいます。
第二の落とし穴は「塗布範囲の誤り」です。白ニキビや赤ニキビの治療薬比較でも触れた通り、面皰治療薬の本質は「予防」にあります。すでに黄色く膿を持ったニキビの頂点だけにピンポイントで薬を塗っても、その周辺に無数に存在する目に見えないマイクロコメドが放置されていれば、数日後に数ミリ隣から新たなニキビが噴き出してきます。「全顔または好発部位全体への広範囲塗布」を守らない限り、モグラ叩きの連鎖から抜け出すことは不可能です。
第三の落とし穴は、スキンケア行動における無意識のバリア破壊です。取材現場で見受けられる典型例として、オイルクレンジングによるゴシゴシ擦り洗い、シャワーの熱湯を直接顔に当てる習慣、ファンデーションの厚塗り、そして無意識に肌を触ったり潰したりする癖が挙げられます。どんなに優れた医療用医薬品を投与しても、日々の生活で物理的・化学的な炎症刺激を浴びせ続けていれば、皮膚の再生スピードが破壊のスピードに追いつくはずもありません。