山口敬之氏を巡るインターネット上の言論空間は、日本のメディア環境における分極化を最も象徴する現場のひとつとなっています。SNS(X)や動画配信プラットフォーム、掲示板などを検証すると、支持者と批判者の評価は真っ向から対立したまま固定化しています。
一般ユーザーや人権擁護を重視する層からは、「最高裁で性暴力の不法行為が確定した人物が、公然と言論活動を続けていることへの違和感」が繰り返し表明されています。特に伊藤詩織氏が制作したドキュメンタリー映画が国際的な評価を獲得するにつれ、海外メディアと日本国内の一部メディアにおける扱いのギャップを問題視する声が根強く存在します。
一方で、ニコニコ生放送「山口敬之チャンネル」や月刊誌『Hanada』を中心とする保守言論界においては、全く異なる風景が広がっています。支持層の間では「山口氏は左派勢力やリベラルメディアによる謀略・情報戦の標的にされた被害者である」という言説が強固に信奉されており、動画のコメント欄やSNS上では熱心な応援メッセージや活動資金のカンパが日常的に飛び交っています。
2026年7月に安倍晋三元首相が凶弾に倒れた際、山口氏は自身の配信や追悼コメントにおいて、声を詰まらせながら個人的な思い出と無念を吐露しました。「日本を取り戻す戦いの途上で巨星を失った」と語る山口氏の姿は、保守層の感情を強く揺さぶり、事件後における支持基盤の結束をさらに強固にする結果となりました。