歴史の扉を開くと、両者のルーツは全く異なる地平にあることがわかる。本場のソウルフードとして君臨する料理は、北イタリアのエミリア=ロマーニャ州ボローニャで育まれた。19世紀後半、食通として知られるペッレグリーノ・アルトゥージが著した歴史的名著『厨房の科学とよい食卓の芸術』の中で紹介され、その原型が世界へと広まったとされる。まさに伝統的なイタリア料理の誇りそのものと言える。
一方で、日本の家庭や喫茶店で親しまれてきた一品は、戦後の米軍統治下で沖縄や横浜を経由し、日本の口に合わせて独自進化を遂げた洋食文化の産物だ。トマトの甘みやデミグラスソースのコクを前面に出し、ご飯や日本の食卓になじむ味わいへと変化を遂げた歴史がある。