現在の熱狂的な盛り上がりを目にすると意外に感じられますが、Mikkeller Tokyoの移転の経緯には波乱に満ちた過去が存在します。日本初上陸を果たしたのは2015年8月、渋谷・宇田川町のビルでした。オープン当初から大きな話題を呼んだものの、入居ビルの契約満了や諸事情が重なり、わずか半年余りの2016年初頭に惜しまれつつ突如として閉店を余儀なくされたのです。
当時、日本のビアファンからは撤退を惜しむ声が殺到しました。しかし創業チームは日本市場への情熱を捨てることなく、約1年以上の入念な準備期間を経て、2017年4月に現在の道玄坂・百軒店という極めてユニークな立地を選び抜いて再起を果たしました。路地の角地に位置する2階建ての古民家をリノベーションし、ストリートカルチャーと北欧デザインを掛け合わせた空間を創出。この再オープンが大成功を収め、ブランドのアイデンティティは強固なものとなりました。
さらに展開は加速し、2026年にはJR神田駅のガード下に「ミッケラー カンダ」をオープンしました。渋谷がスタンディング主体の軽快なバーであるのに対し、神田は自家製クラフトバーガーとビールのペアリングをじっくり楽しむダイナー業態として設計されています。歴史あるガード下の構造美とクラフトビールの融合という新たな提案により、東京におけるブランドのプレゼンスは二重の厚みを持つに至りました。