巨額の負債をほぼ清算し、ようやく穏やかな暮らしを取り戻しかけた夫妻を、次に襲ったのは健康問題だった。長年の激務と心労が蓄積した千秋氏は体調を崩し、やがて本格的な療養生活へと入る。
畠山は舞台活動の合間を縫って夫の介護に奔走した。かつて自分を守り、支えてくれた夫に対して、今度は自分が全力を尽くす番だと信じて疑わなかった。病床の千秋氏もまた、弱音を吐くことなく妻の歌手活動を励まし続けたという。
闘病の末に千秋氏が旅立ったとき、畠山は深い喪失感に包まれた。しかし、同時に残されたのは「どんな苦境でも前を向いて生きる」という夫と共に培った不屈の矜持であった。最愛の伴侶との別れは、彼女の歌手人生に更なる深みと説得力を与える契機となった。