ただし、サンマ激減の理由を「中国船の乱獲」だけに求めるのは科学的に正確ではありません。水産資源の調査研究によって、地球温暖化に伴う北西太平洋の海洋環境激変が、より根本的な打撃を与えている実態が明らかになっています。
サンマは冷たい水を好む回遊魚であり、本来であれば寒流である「親潮」に乗って日本列島の沿岸近くまで南下してきます。しかし、近年の海水温上昇によって親潮の勢力が弱まり、日本近海に居座る巨大な「暖水塊(温かい海水の塊)」がサンマの行く手を阻む巨大な壁となっています。
適水温を求めるサンマの群れは、温まりすぎた日本沿岸のEEZを避け、より水温の低い遥か東側の公海沖合(東経160度〜170度付近)を迂回して南下せざるを得なくなりました。小型船が中心の日本漁船にとっては、燃料費をかけて往復することすら命がけとなる遠方の海域です。回遊ルートそのものが公海側へ大きくシフトしてしまったことが、日本の沿岸不漁に決定打を与えています。