父がダイナミックな衝動の象徴であるならば、母・原由子は桑田家の温かな精神的支柱であり続けた。家庭内には常に古今東西の上質な音楽が流れており、クラシックから歌謡曲、海外のブルースまで多種多様な音覚が日常の中に溶け込んでいた。
原由子は息子の音楽的関心を否定することなく、静かに見守る母性で包み込んだ。多忙を極めるサザンオールスターズの活動の合間を縫い、家庭での温かい手料理と穏やかな会話で息子の感性を育んだという。彼が持つ豊かなメロディセンスの根底には、母から受け継いだ繊細な音の記憶が脈々と流れている。