家庭で揚げると「ベチャッ」としがちな春菊天だが、プロが実践するアプローチは全く異なる。本物の蕎麦職人が明かす最大の裏技は、衣の「水分量」と「油の温度管理」、そして打ち粉の技術にある。
まず、春菊は洗ったあとに水分を完全に拭き取ることが不可欠だ。葉の表面にわずかな小麦粉を薄くまぶす「打ち粉」を施すことで、衣の密着度が劇的に高まる。衣は冷水と冷えた卵、そして冷やした薄力粉を軽くさっくり混ぜ合わせるのが鉄則。ここで練り過ぎてグルテンを出してしまうと、あの軽やかな食感が失われてしまう。さらに、隠し味として少量のベーキングパウダーや米粉を混ぜると、冷めてもパリッとした食感が持続する。
油の温度は175度から180度の高温を保つ。伝統的な江戸前天ぷらの技法を取り入れ、春菊をひとつにまとめすぎず、花が咲くように油の中で広げて揚げるのがコツだ。水分が抜け、パチパチという水蒸気音が静まる一瞬を見極めて引き上げる。これで、油っぽさを一切感じさせない軽やかな衣と、青々とした独特の苦味が際立つ最高の天ぷらが完成する。