かつて名門コロンビア・レコードのスタジオで繰り広げられた録音セッションは、決して穏やかなものではなかった。現在ソニー・ミュージックエンタテインメントが管理する厳重なアーカイブ保管庫からは、当時のプロデューサーであるトム・ウィルソンが残した詳細なセッションノートが発見されている。
ポール・サイモンの緻密なソングライティングと、アート・ガーファンクルの天性とも言える澄み渡る高音。二人の才能が火花を散らしたスタジオ内では、マイクとの距離や演奏のテンポを巡り、夜を徹して鋭い議論が戦わされた。特にボーカルの重ね録りにおいては、機材上の制約を克服するため、肉声の倍音成分だけで独特の立体感を表現しようと試みていた事実が明かされている。