親子の関係は、決して平坦な美談ばかりではなかった。一時期は互いに一定の距離を置き、メディアの前でも多くを語らない時期が続いた。偉大な父の威光に頼らず、一人の独立した役者として認められたいという開の強い自立心が、時に軋轢を生んだことも事実である。
「宍戸錠の息子」と呼ばれることへの葛藤。そこから脱却するために彼が選んだのは、父とはまったく異なるアプローチだった。ワイルドでありながら繊細、どこか親しみやすさを感じさせる独特のキャラクターは、泥臭い下積みと自問自答の末に掴み取った彼自身の「武器」だったのだ。晩年、父・錠が静かに見守る中で魅せた息子の成長は、言葉以上に深い絆の証でもあった。