リノール酸の摂取量が適正範囲を超えたとき、体内では深刻なトラブルの引き金が引かれます。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、オメガ6系脂肪酸の摂取目安量は、成人男性で1日あたり約10〜11g、成人女性で約8〜9gとされています。しかし、現代人の推定摂取量はこれを大幅に上回っているケースが目立ちます。
過剰摂取によって生じる最大のリスクは、体内で作られるアラキドン酸の暴走です。リノール酸を摂りすぎると代謝経路が飽和し、体内で過剰なアラキドン酸へと変換されます。このアラキドン酸から、強い炎症作用やアレルギー反応を引き起こす「プロスタグランジンE2」や「ロイコトリエンB4」などの化学伝達物質が大量に生成されます。
この生化学反応が続くと、血管や内臓で目に見えない慢性炎症がくすぶり続け、動脈硬化やインスリン抵抗性の悪化を招きます。さらに、免疫システムが過敏な状態に傾くため、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー性疾患の発症・増悪リスクを押し上げる要因となります。
もう一つの見逃せない危険因子が、不飽和脂肪酸の酸化リスクです。リノール酸は分子構造内に複数の二重結合を持つため、光、空気、高熱にさらされると容易に酸化します。繰り返し加熱された揚げ油などでは、神経毒性や細胞障害性が指摘される「ヒドロキシノネナール」をはじめとする有害な過酸化脂質が生成されます。これが体内に取り込まれることで、細胞膜を傷つけ、老化や生活習慣病の引き金を引くことになります。