松山市の秋を象徴する風物詩といえば、毎年10月上旬(10月5日〜7日)に開催される「松山秋祭り」です。その中でも、日尾八幡神社を中心とする久米地区の祭礼は、道後地区と並び全国的に名高い日尾八幡神社の鉢合わせ(喧嘩神輿)が繰り広げられる舞台として熱い注目を浴びます。
10月7日の早朝、まだ夜が明けきらない静寂の中、宮出しを迎えた複数の町内神輿が境内に集結します。「ヨッサイ、ヨッサイ」という地響きのような掛け声とともに、重さ約1トンに達する巨大な木造神輿同士が正面から激突する瞬間、境内は耳を劈くような木音と観客の怒号のような大歓声に包まれます。
地元保存会および古老の証言によると、この鉢合わせは単なる腕自慢の喧嘩ではありません。「神輿を激しくぶつけ合うことで、神輿に宿る神霊の御魂(みたま)を揺り動かし、神威を高めて地域の邪気を祓い、翌年の豊作と無病息災を祈願する」という、極めて厳格な神道儀礼に基づいています。
祭りの熱狂を肌で体感しようと県内外から多くの見物客が詰めかけますが、神輿の周囲は極めて危険なため、指定された観覧エリアを守り、警備員や氏子総代の指示に従って観覧することが鉄則です。