1980年代、世界シェアの過半数を握っていた日本の半導体産業は、名実ともにグローバル市場を支配していた。しかし、マクロ経済学的な為替の変動や日米半導体協定、そして自社完結型の垂直統合モデルへの過度な執着が、日本から決定的な主導権を奪い去った。水平分業型へのシフトを見誤り、最先端の製造プロセスを巡る熾烈な開発競争からは脱落を余儀なくされた。
いわゆる「デジタル敗戦」の傷痕は、単にIT領域の不振にとどまらない。成功体験への甘えとアナログな業務慣行への固執が、社会全体のイノベーションの芽を摘み取り、国全体の生産性を著しく押し下げた。過去の輝かしい栄光が、いまや新しい挑戦を阻む最大の障壁となっている。