暗く過酷な社会情勢の中で一筋の光となるのが、世代を超えて受け継がれる無償の愛の連鎖だ。絶望のなかで命を落としたファンテーヌの祈りは、バルジャンを通じて娘のコゼットへと託される。バルジャンにとってコゼットは、暗闇の人生を照らす唯一の希望であり、贖罪の生き証人でもあった。
やがて成長したコゼットが若き革命家マリウスと結ばれることで、バルジャンの孤独な戦いは救済へと向かう。また、テナルディエ夫妻の娘でありながらマリウスのために命を散らすエポニーヌの悲恋も見逃せない。報われない愛を抱えながらも愛する人を守り抜いた彼女の姿は、見る者の涙を誘う。誰かを愛すること自体が神の御心に触れることなのだと、登場人物たちの生き様が力強く物語っている。