事件の全貌を語る上で避けて通れないのが、積水ハウス内部で発生していた激しい社内抗争だ。当時、事件のクーデター劇として注目を集めたのが、社内からの「警告」を無視し続けた経営陣の判断ミスである。
真の所有者から「私は土地を売っていない」「書類は偽物だ」という内容証明郵便が同社に届いていた。しかし、当時の阿部俊則社長を中心とする取引推進派は、これをライバル業者による「売買妨害の嫌がらせ」と断定。確認作業を怠り、決済を強行したのである。被害発覚後、会長と社長の間で凄惨な責任の押し付け合いが発生。結果として社内クーデターが勃発し、経営体制が刷新されるという激震が走った。企業のガバナンス不全が詐欺師に付け入る隙を与えた典型例といえる。